『本を読む本』M.J.アドラー / C.V.ドレーン 著
[Reading Journal 2nd:読書日誌]
第一部 読書の意味 3 初級読書 — 読書の第一レベル
前回「2 読書のレベル」において、読書の4つのレベル、すなわち「初級読書」「点検読書」「分析読書」「シントピカル読書」が示された。ここより、この4つのレベルの読書について、具体的な解説が示される。今日のところは、「初級読書」についてである。それでは、読み始めよう。
読み方学習の四つの段階
読書の第1レベルの「初級読書」は、四つの段階がある。
第一段階「読み方準備期間」(六、七歳ごろまで)
この段階は、視力、聴力などの肉体的条件、文字や単語などを読み取る心的条件が整い、言語活動や人格的準備が出来上がる。
ここで重要なことは、この時期の発達は子供によるので、焦りは禁物ということである。他の子より遅れていると焦って準備ができていないのに読み方の指導を始めると、嫌気がさして、将来にわたって読書嫌いになることがある。この時期の多少の遅れはあまり気にするに及ばない。
第二段階「簡単なものの読み方を覚える」(七歳ごろ)
この時期には単語の習得が始まり、道筋をつかむこと、言葉集めをすることなど基本的な技術の指導が行われる。この時期を終えるころには、簡単な本をひとりで読み続けることができるようになる。
この時期に奇跡的というべき不思議なことがおこる。それは、本に書かれている記号の集まりだったものが、記号の意味をつかみ理解できるようになるということである。そのメカニズムはまだはっきり分かっていない。
第三段階「本から知らない単語を習得する」
この段階では、「子供は文脈をたどって知らない単語の意味をつかむ技術」を身につける。そして、自分の目的に応じて様々な分野(科学、社会学、文学など)の本を選ぶようになる。
第四段階「読書体験を自分のものにする」(十代はじめまで)
この段階になると、これまでの技術に磨きをかけ「読書体験を自分のもの」にする。十代初めまでにこの段階に達することが望ましい。
四つの段階の習得時期
ここでの四つの段階はすべて「初級読書」のレベルの話であることに注意が必要である。この段階を小学校の過程に当てはめると
- 第一段階「準備期」:小学校就学前
- 第二段階「単語の習得期」:小学校一年生
- 第三段階:小学校四年生の終わりごろ
- 第四段階:小学校ないし中学校を終えるころ
この四段階を終えるころ「手助けのある発見」と「手助けのない発見」の違いが明らかになる。そしてよい読者になるための準備が整う。
高等教育と読書
高等教育では、高校で「分析読書」、読書の第1レベル「初級読書」は、発達に応じて4つの段階に分かれる。すなわち「準備期」「単語習得期」「知らない単語を習得できるようになる時期」「読書体験を自分のものにする時期」である。これらは十代の始めごろまでに終えることが望ましい。:『本を読む本』より
を習得することが目標となる。しかし、高等教育になっても小学校終了程度の読書レベルの学生も多く、大学においてもその矯正訓練を行う必要がある。
コメント