本読みの方法(1) 一度目:通読(後半)
高田 明典 『難解な本を読む技術』 より

Reading Journal 2nd

『難解な本を読む技術』 高田 明典 著
[Reading Journal 2nd:読書日誌]

第3章 本読みの方法(1) 一度目:通読(後半)

今日のところは「第3章 本読みの方法(1):通読」の“後半”である。”前半“では、1回目の通読の意義と方法、読書ノートの作り方が書かれていた。それを受けて、今日のところ”後半“は、通読(一度目)の具体的な方法、注意点がまとめられている。それでは、読み始めよう。

メモを取りながら通読

本の選書、読書ノートの製作が終了したら、ここで一度目の通読を先に作った読書ノートにメモを取りながら行う。ここで著者は以下のような注意をしている。

  1. 余白を開けてメモを取る
  2. 雑にとる:性格によるので変更してもよい。ただし几帳面にとる必要はないと意識する
  3. 鉛筆で書く:著者は後で消すために鉛筆を使うが、ペンで書いて、解決したら二重線で消すでもよい
  4. 疑問点は何でもメモする
  5. 重要単語をメモする
  6. 概念と概念の関係、理由と結論の関係は「→」でつなぐ
    • (以下、④~⑥の実際の手順)
    • (1)通読前に章題や小見出しを眺め語句をざっと把握する。語句に関する疑問点、不明点をメモする
    • (2)何度も出てくる重要単語、概念をメモする
    • (3)読みやすい箇所と難解な箇所についてメモする
    • (4)こまめにページ番号を記載する
    • (5)重要な文、目にとまった文を書き写す(ページ番号を忘れずに)
    • (6)概念と概念の間のつながりや論理関係が存在する場合は、矢印などで結ぶ
    • (7)わからない概念、用語は大き目の文字でメモし「?」と記号を記載
    • (8)わからない部分はわからないままにする。

一度目の通読は「地図を作る」ことが目的である。その「地図」は、「わからないこと」「不明な点」「難解な箇所」がどのように配置されているかという地図である。この地図があると二回目以降の読みがとても楽になる.

通読の段階では、たとえ「わからない」と感じたとしても、それをあまり気にせずに、読書ノートの外形を作っていく作業だと考えて読みを進めていくことが重要です。(抜粋)

メモを取るタイミング

ここで著者は、読書ノートをとるタイミングについて注意をしている。まず、本を読みながら傍らに読書ノートを開いておいて、書き込むやり方が必ずしも良いというわけではないとするものの、通読の段階では、読書ノートを横に置きながらメモをするのが効率的であると言っている。

しかし、次の「二度目:詳細読み」の段階では、読むときは読むに集中し、あとでもう一度振り返って読書ノートにメモする形式の方が好ましいとしている。

本のタイプを見極める

この一度目の通読時に購入した時点で推測した「本のタイプ」をもう一度推測する。

「登山型の本」か「ハイキング型の本」か

まずその本が「登山型の本」か「ハイキング型の本」か、を見極める。そして、もし「登山型の本」の場合には、一度目の通読の範囲、「折り返し地点」を決める必要がある。この折り返し点は、登山型の本でも判然としない場合も多いが、章や見出しなどで折り返し、二度目の本読みに入ることが必要である。

「折り返し位置」の判定は、「まったく理解できず、ただ文字づらを追っているだけの読書になった」ところに設定するのがよいでしょう。(抜粋)

「閉じた本」か「開いた本」か

次に「閉じた本」か「開いた本」なのかを推測する。開いた本の場合は、「主張じみた部分」が極端に少ないという特徴があり、そのような本は「開いた本」であると言える。

一度目の通読で、その本が全体として「閉じている」のか「開いている」いるのかを判断しておくことは、二度目の本読みを楽にします。(抜粋)

「通読」だけで終える本

本の中には、通読中に「二度目の読みをする必要がない」と感じる本がある。その判断基準は、「わからないと感じる部分があるかどうか」である。ここで、注意すべきは、「わからない」という基準が、「読書の目的」に依存するということである。そのため「自分がどこまで理解したいかを考えているのか」ということを自覚する必要がある。

まったくわからないとき、つまらないとき

まったくわからない場合

本によっては冒頭からまったくわからないこともある。このような場合は、その本から地図を作ることが不可能なため、一旦本を閉じ、入門書、参考書、ネットなどの検索をして地図を作る作業を行う必要がある。

「わかる」のに「つまらない」場合

通読をしていて、理解できそうだがつまらないと感じる場合もある。そのような場合は無理して読み続ける必要はないと著者は指摘している。

つまらないと感じる本を読み続けなければならない理由は、どこにも見当たりませし、そう感じながら読み進めたとしても、よい結果に至らない場合が多いでしょう。(抜粋)

その本が「わからない」場合には「つまらない」と感じることも多いが、「わかる」のに「つまらない」と感じる場合は、読者の興味の方向と違っているためと考えられる。そのため「わかる」のに「つまらない」と感じる場合は、選書からもう一度やり直すことが必要である。

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