『モチベーションの心理学 : 「やる気」と「意欲」のメカニズム』 鹿毛雅治 著
[Reading Journal 2nd:読書日誌]
第2章 モチベーション理論の展開(その4)
4 期待×価値理論
心理学の世界では、50年代後半から60年代にかけて「認知的なメカニズムやプロセスを重視すべき」という「認知革命」が起こる。それにより、行動主義心理学で主な研究対象だった観察可能な行動より、何を知っているかといった人の内面にスポットがあてられた。
モチベーションの心理学でも、人を「意味づける主体」としてとらえ、モチベーションを規定する要因として意識や知識が取り上げられるようになった。
「期待×価値理論」は、そのような変革期に生まれ、今日にいたるまでモチベーションの考え方の基礎となる包括的理論である。
モチベーションを規定する要因として「価値」=「人を引き付ける要因」と「期待」=「実現可能性に関する知識や認識」の二つを考える。そして、モチベーションを「価値」と「期待」の関数と考える。これが「期待×価値理論」である。
つまり、価値がどんなに高くても期待がゼロならば、モチベーションもゼロであり、期待がいくら高くても、価値がゼロならモチベーションはゼロということである。また、価値がマイナスの場合は、回避動機づけが起こる。
ここで、この期待や価値は、その人の主観的な認知であることに留意が必要である。
この期待×価値理論は、実に汎用性が高く、われわれの日常生活におけるモチベーション現象の多くが理解できる。(抜粋)
しかし、モチベーションを単純に期待と価値の積と考えるのは、単純すぎるため、価値をいくつかの副次的な要素に分けてそれぞれについて検討し、それをも変数として考えるのが「道具性理論」である。道具性理論では、二次的結果も含めて検討するためモチベーションの個人差を精緻に推測できる。
以降に、道具性理論の適用方法について、詳しい説明が書かれている。
ここの「モチベーション」=「期待×価値理論」は、なるほど納得ができるような気がするなぁ。
そして、最初のほうの「モチベーションとは何か」のところを見ると、「達成(パフォーマンス) = 能力×モチベーション」となっている。
してみると「達成」=「能力」×「期待」×「価値」となるんでしょうか?でもでも、この期待は、達成できるかの期待で、それは、能力を加味して考えているので、この方程式はちょっと解けないな。そういう複雑さがあるから重要な研究対象になるわけですね! (つくジー)
コメント