『人を助けるとはどういうことか』 エドガー・H・シャイン 著
[Reading Journal 2nd:読書日誌]
⑨ 支援関係における7つの原則とコツ(前半)
いよいよ今日から最終章「⑨ 支援関係における7つの原則とコツ」に入る。ここでは「支援する用意と支援される用意」の話題の後、7つの原則を一つ一つ具体的に説明し、本書のまとめとしている。
第9章は”前半“と”後半“にわけ、”前半“では、「支援する準備と支援される準備」と7つの原則のうち、最初の1~3についてまとめ、”後半“において、のこりの4~7の原則についてまとめることにする。それでは読み始めよう。
支援とはありふれているが、複雑なプロセスだ。それは態度であり、行動であり、スキルであり、社会生活に不可欠な要素でもある。また、われわれがチームワークとして考えているものの核であり、組織の有効性に欠かせない要素でもある。そしてリーダーが行うべき最も重要なものの一つであり、変革のプロセスの根幹でもあるのだ。しかし、支援は失敗する場合が多い。(抜粋)
著者はこのように言って、本章を始めている。そして、ここではこれまで本書で提供してきた数々の洞察をまとめ、最後の考えや原則、そして助言を述べるとしている。
支援を与える用意
支援はありふれた社会プロセスである。急に支援が必要になったり、支援を選択肢に入れなければならなくなったりすることもある。そのため支援を与える準備をしておく必要がある。
支援は、求められれば、進んで行うのが社会的なルールであるが、そえは自動的な反応ではなく、支援しないという選択肢もある。
認識しておくべき重要な点は、支援を求める必要性が、われわれのまわりにさまざまな形でつねに存在しているということだ。そこで、そうした支援の必要性に気づくか気づかないのか選択や、支援を与えるか否かの選択をする必要がある。(抜粋)
支援を受ける用意
支援を受ける側にも問題が含まれる。支援は求めるか求めないかにかかわらず提供されることが多いからである。支援が与えられると、他人の主導権に反応し一段低いの位置に置かれたという感情が生じ、それに対処しなければならない。
こうした望まない支援という形が最もありふれた、そして最も厄介な状態で生じるのが、余計なおせっかいというものである。(抜粋)
原則1 与える側も受け入れる側も用意ができているとき、効果的な支援が生じる。
コツ① 支援を申し出たり、与えたり、受け入れたりする前に、自分の感情と意図をよく調べること。
支援を申し出る真の意図が、仕事を片づけたり、相手を負かせたりすることだった場合は、支援の罠に陥りやすい。
コツ② 支援したいとか、支援されたいとかいう自分の欲求がよくわかるようになること。
支援には相互依存のルールがある。そのため支援したくない、支援をされたくないという気持ちがあったら、そういう事態にならないように避ける方が良い。しかしひとたび支援を求められたり、支援の申し出があったら、その相互依存のルールに従うべきである。
コツ③ 支援しようという努力が快く受け入れられなくても、腹を立てないこと。
腹を立てないで自問し、自分が支援の罠には陥っていないかを確認する。助けたいと思っている人が、支援を受け入れる用意があるか?調べなかったことが原因かもしれない。
原則2 支援関係が公平なものだと見なされたとき、効果的な支援が生れる。
コツ④ 支援を求める人は気まずい思いをしているということを思い出そう。だからクラインとの本当の望みは何か、どうすれば最高の支援ができるかを必ず尋ねること。
このようなことを尋ねれば、クライアントが状況や意思をコントロールできるという気持ちになり、支援を受け入れやすくなる。また、クライアントに支援が必要であるか時々確認し、過剰な支援をしないように注意する。
コツ⑤ あなたがクライアントなら、何が役に立ち、何が役に立たないかというフィードバックを支援者に与える機会を探そう。
反対に自分がクライアントの場合は、支援者に役に立つようにガイダンスや情報を提供することが必要となる。これ以上の支援が必要でない時は、支援者にそのことをフィードバックする。
原則3 支援者が適切な支援の役割を果たしているとき、支援は効果的に行われる。
コツ⑥ まずは調べてから、どんな支援の形が具体的に必要とされているかを推測すること。
クライアントに支援が必要と明らかな場合であっても、まずはプロセス・コンサルタントの役割になり、何が必要かを協同で調べ、充分な情報を打ち明けられるような信頼関係を築くことから始めなければならない。情報が充分に得られるまで専門家や医師の役割に移らないことが大切である。
コツ⑦ 支援する状況が続く中で、あなたの演じている役割がまだ役に立つものかどうか、定期的に調べること。
長い間支援を続ける場合は、前に効果的だった役割がそのまま有効であるとは限らない。時々、プロセス・コンサルタントの役割に戻り、過剰な支援や不適切な支援をしていないか確認することが必要である。
コツ⑧ あなたがクライアントなら、もはや助けられていないと感じたとき、恐れることなく支援者にフィードバックを与えよう。
自分がクライアントの場合は、もはや支援の必要がないと感じたら、そのことを支援者に伝える、支援者に役割を変える時期であることを知らせる必要がある。
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