『限界ニュータウン 荒廃する超郊外の分譲地』 吉川祐介 著
[Reading Journal 2nd:読書日誌]
2章 限界ニュータウンで暮らす [5/7]
現在の貸家に引っ越すまで、限界分譲地での物件選び、暮らしの利便性をめぐって
この章では、実際に限界ニュータウンで暮らしている著者の視点からその問題点と将来性、さらにはその思いなどが書かれている。
まず、最初に著者が現在の借家に引っ越すまでの経緯が語られている。プロローグにあるように著者は安い借家を求めて、八街の限界ニュータウンに引っ越してきた。その後、芝山町の借家に引越し、そして現在の横芝光町の現在の借家に落ち着いた。著者は、住むのとは別に物置とか遊びに使用するために、安い土地を捜して、現在住んでいる団地に20万円で土地を一区画購入した。そして、その土地がある団地の借家に引っ越してしまう。
次に限界分譲地での物件探しについて書かれている。限界分譲地といえども物件を探す手順は、普通の分譲地と同じである。しかし土地単価が異常に安い物件では、不動産会社の儲けにはならず現地案内などのサービスをしてもらえない可能性がある。限界分譲地は同時期に乱開発されたため、住宅のスペックはどれも似たり寄ったりである。区画は狭く、車の駐車スペースも十分でない場合も多い。これはどの物件も同じであるので、むしろ周辺環境を十分チェックすることが大切であると、いっている。
千葉県の限界分譲地における物件選びでは(とくに賃貸の場合は)、あまり変わりばえのしない住宅のクオリティーよりも、周辺環境の善し悪しや好みが需要な判断材料になると思うのだが、留意したいのは、物件価格や賃料というものは多くの場合、敷地面積、駅や商業施設からの距離、建物の築年数や床面積などから算出されるのが通例である点だ。・・・(中略)・・・ そこで、個人的にお勧めしたいのが、所在地が公開されている物件であれば、取り扱い業者に案内を申し込む前に、自分で下見して周辺環境を把握することである。(抜粋)
限界分譲地に暮らすためには、その利便性が大切である。まず、限界分譲地がある地域は集落が点在しているため、日常品を買うための店舗は、それなりに近い位置にある。ネット通販も問題ないので日用品の入手に困ることは無い。携帯電話などの環境は微妙でキャリアによっては、電波の弱い地域もある。しかし、固定回線に関してはまず困ることはない。しかし、交通機関の利便性は貧弱であり、自家用車は必要である。病院や学校へのアクセスはともに良くない。
このような状況のため、著者は、限界分譲地は、通常の勤め人の人に適する分譲地ではないと考えていて、ブログ等でも移住を勧めたことはないといっている。しかし、それでも合う人はいるという、それは単身者である。限界分譲地では、自動車や自宅の周りのメンテナンスなどを自分でやる必要があり、それに合うのは、単身者ではないかといっている。
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