『限界ニュータウン 荒廃する超郊外の分譲地』 吉川祐介 著
[Reading Journal 2nd:読書日誌]
1章 限界ニュータウンとはなにか [4/7]
悩ましい水道・ガス問題、放棄される分譲地、空き地に立つ謎の看板、賃貸化は活路となるか、[コラム]地元の不動産会社社長に聞く、〈写真で見る限界ニュータウン〉
悩ましい水道・ガス問題
このような限界分譲地では、他の市街地から離れた地域と同じように下水道の配備が遅れていて浄化槽による排水を行っている。また、都市ガスの供給などはまず望めない。小規模の限界分譲地はともかく、中規模以上の分譲地では、
集中井戸、集中浄化槽、集中ガスといった、団地専用の共同設備を用意しているケースが多かった。
このような共同施設は、基本的に住民自身で維持管理されている。
しかし、当初からほとんど家が建っていない限界分譲地では、このような共同施設が放置されているところがある。また、共同施設を使用している団地においても、そろそろ施設が限界にきて、直そうにも施工業者の廃業や多額の費用により維持を断念しがところもある。
かつては、分譲地のセールスポイントであったはずの共同施設は、いまとなってはむしろ、分譲地の資産価値や流動性を押し下げるマイナス要素と化してまっている。
放棄される分譲地
ここに書かれているのは著者が放棄分譲地(ココを参照)と定義している分譲地である。
都市計画区域では、新築にあたり建築基準法により接道義務が生じる。しかし都市計画地域に指定された時点で一戸も住宅が建っていない分譲地では、分譲地内の私道が建築基準法上の道路と認定されなかったケースが多くあった。そのような分譲地では、家を建てように接道がなく建設許可が下りない。
このような「放棄分譲地」は、荒れ果ていつしか不法投棄温床となってまって閉まっている。
空き地に立つ謎の看板
限界分譲地に特徴的な光景して、小さな看板空き地に立っていることがある。このような看板は、悪質な業者が立てていることが多いと著者は警告している。
結論から先に言ってしまえば、これらの業者は、成功報酬である売買仲介手数料はなく、宅建業法禁止されているはずの、成約前の手数料を請求している違反業者ある疑いがきわめて濃いのである。
賃貸化は活路となるか
千葉県北総部の限界分譲地では、戸数のわりに賃貸物件が多い、これはその成り立ち(ココを参照)から、開発から実際の利用までに十年以上のタイムラグがあるために、
そこそこ状態のよい見栄えのする中古住宅が比較的安価で供給されていることだ。
の状態である。この賃貸化が進むことは、メリットばかりではないが、住宅地流動性促し市場が流通する。著者は、この賃貸化限界分譲地の活路になるのではないかと対している。
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