『フランス 26の街の物語』 池上 英洋 著
[Reading Journal 2nd:読書日誌]
Chapter 1 人の物語 / 青髭の城 —- Tiffauges(ティフォージュ)
青髭男爵とは、中世末期のフランスの実在の人物、ジル・ド・レー(本来の名前は、ジル・ド・モンモランシー = ラヴァル)である。レーは、ブルターニュ地方にある彼の領土の名前であり、領内にあるティフォージュ城が彼の居城であった。
ブルターニュ地方の中心地ナントから車で一時間半ほど走ったところに、その城はある。幾多の攻撃を受け現在は廃墟同然であるが、その石造りの城壁や城門は、当時の威容を想像させるものである。
この城はもともと、彼の妻の持参金の一部であった。二人の結婚は、まだジルが一五歳前後、群雄割拠している勢力の政略結婚であった。彼と弟は幼いころに両親を失い、祖父が後見人となる。その祖父は、親戚の領地も攻めとってしまうなどの悪行を重ねていた。その祖父の政略の道具としての結婚であった。
ジルがその城の主になったころ、ブルターニュはイングランドとフランス王家のどちらの支配も免れようとして、両者を行き来する不安定な状態であった。ジルは、フランス王位の継承を宣言したシャルル王太子側のアンジュール公領軍の指揮官となり、イングランドと闘った。そのころ活躍したジャンヌ・ダルク(前章を参照)と共にジルは、オルレアン奪還まで戦う。ランスでのシャルル七世の戴冠式では、王の塗油に用いられる聖油を運ぶ栄誉にあずかり、フランス元帥に列せられる。
彼の恐ろしい犯罪がいつから始まったのかわからない。(抜粋)
ジルは、戦地から引き上げると従来の浪費癖が加速させた。彼はその金で錬金術師から降魔術などの指導を受けていた。そして、ティフォージュ城の近辺の子供たちが、ひとりふたりと姿を消し始めた。
彼は、従者らが子供を連れて来ると、その子供を殺しあらゆる虐待行為を行った。
夜ごと繰り返されたこのような行為のサディスティックさは、およそ血の通った人間が行うとは信じがたいほどだ。(抜粋)
結局、ジルや捕まり異端尋問が遂行された。それに並行し殺人や借金の踏み倒しなどの世俗裁判も行われた。降魔術や同性愛などで破門され、世俗裁判では、罰金刑と絞首ののち火刑の裁定が下された。
最初は不遜な態度を示していた彼も、最後には跪いて敬虔な態度を示し、嗚咽しなたら懺悔した。(抜粋)
そして、一四四〇年に三五歳前後で処刑された。

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