[読書日誌]『文章のみがき方』
辰濃和男 著 [全20回]

Reading Journal 2nd

『文章のみがき方』 辰濃和男 著、岩波書店 (岩波新書)、2007年
 [Reading Journal 2nd:読書日誌]

まえがき

少し前に辰濃和男の『文章の書き方』を読んだが、この本はその続編である。著者は、本を読んでいて気に入った文章に出会うと、それを書き抜いているという。そして、そのなかで「文章論」に関するものを整理したいという気持ちになり、それを集めはじめた。

いい文章には、平明・正確・具体性・独自性・抑制・品格などの大切な要素があるが、同時に、「これを書きたい」という書き手の心の静かな炎のようなものが、良い文章の条件である。

ここで著者は、太宰治と篠田桃紅の言葉を引用している。

「佳き文章とは、『情こもりて、ことばび、心のままの誠を歌ひ出たる』態のものを指していふ也」(抜粋)(『太宰治全集(一〇)』筑摩書房)
「さ候へば、すべて心ありての言葉、と御心得あるべく候」(抜粋)(篠田桃紅『その日墨』冬樹社)

最後に著者は、次のように書いている。

目次を見ればおわかりのように、三十八の章はいずれも動詞を拠りどころにしました。動詞の連なりが、果てのない道の、ささやかな道しるべの役割を果たしてくれることを念じています。(抜粋)

関連図書:
太宰治(著)『太宰治全集(一〇)』、筑摩書房、1998-1999年
篠田桃紅(著)『その日墨』、冬樹社、1983年

目次 
まえがき [第1回]
I 基本的なことを、いくつか
 1 毎日、書く [第2回:前半]
 2 書き抜く [第2回:後半]
 3 繰り返し読む [第3回:前半]
 4 乱読をたのしむ [第3回:後半]
 5 歩く [第4回:前半]
 6 現場感覚をきたえる [第4回:後半]
 7 小さな発見を重ねる [第5回:前半]
II さあ、書こう
 1 辞書を手もとにおく [第5回:後半]
 2 肩の力を抜く [第6回:前半]
 3 書きたいことを書く [第6回:後半]
 4 正直に飾りげなく書く [第7回:前半]
 5 借りものでない言葉で書く [第7回:後半]
 6 異質なものを結びつける [第8回:前半]
 7 自慢話は書かない [第8回:後半]
 8 わかりやすく書く [第9回:前半]
 9 単純・簡潔に書く [第9回:後半]
 10 具体性を大切に書く [第10回:前半]
 11 正確に書く [第10回:後半]
 12 ゆとりをもつ [第11回:前半]
 13 抑える [第11回:後半]
III 推敲する
 1 書き直す [第12回:前半]
 2 削る [第12回:後半]
 3 紋切型を避ける [第13回:前半]
 4 いやな言葉を使わない [第13回:後半]
 5 比喩の工夫をする [第14回:前半]
 6 外来語の乱用を避ける [第14回:後半]
 7 文末に気を配る [第15回:前半]
 8 流れを大切にする [第15回:後半]
IV 文章修行のために
 1 落語に学ぶ [第16回:前半]
 2 土地の言葉を大切にする [第16回:後半]
 3 感受性を深める [第17回:前半]
 4 「概念」を壊す [第17回:後半]
 5 動詞を中心にすえる [第18回:前半]
 6 低い視点で書く [第18回:後半]
 7 自分と向き合う [第19回:前半]
 8 そっけなさを考える [第19回:後半]
 9 思いの深さを大切にする [第20回:前半]
 10 渾身の力で取り組む [第20回:後半]

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