『文章の書き方』辰濃 和男著
[Reading Journal 2nd:読書日誌]
<広場無欲感>の巻 — 感 覚
<広場無欲感>の巻の最後は「感覚」について。ここでは、感覚を磨くこと、感覚の表現を磨くことについて書かれている。
感覚を磨くには、第一にゆとりが大切、そして第二に反復することが大切である。
方向感覚路磨くには、全体の地図を頭にいれる訓練、道の両側の特徴を頭にきざみこむ訓練を繰り返し、己に課すことでしょう。(抜粋)
そして、第三にはほんものにふれること、つまり海を書くときはほんものの海を見て書くことが大切である。
次に感じたことをどう表現するかについては、「視覚(色彩)」、「匂い」、「触る感覚」、「味覚」、「五感の重なり」、「自然感覚」を実例を示しながら解説している。
また、色彩については、色彩辞典の活用法を示し、同様な辞典のない香りについては、中村祥二の『香りの世界をのぞいてみよう』の香りの表現の分類を使い解説している。
私は、推理小説作家、北村薫の文章が好きです。『覆面作家は二人いる』にこんな文章があります。 「電車の窓からは、家並みの彼方に遥かに遠い雲が、竜胆色[リンドウ]色の和紙で作った山脈のように見えた。空はそのうえにサーモンピンクに広がっていた。二人、連れ立って、よほど素敵な夢の国にでも出掛けるようだった。 しかし、着いたところは監獄めいた高い塀の前だった。」 こういう文章に出会うと、推理小説を読む楽しみが倍増します。(抜粋)
関連書:北村薫 (著)『覆面作家は二人いる』、角川書店(角川文庫) 、 1997年
関連書:中村祥二(著)『香りの世界をのぞいてみよう』、ポプラ社、1993年
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