『文章の書き方』辰濃 和男著
[Reading Journal 2nd:読書日誌]
<整正新選流>の巻 — 選ぶ
この節は、文章を書く最終段階の材料を選ぶことについて書かれている。
たくさんの資料を準備した後に、材料を選ぶという作業がある。選ぶという事は、余分なものを捨てる、削るという事であり、この作業は難しい。
清水幾太郎や島尾敏雄もこの選ぶ作業の難しさについて書いている。
ここで大切なことは、余計なものを削って単純化することである。単純化された言葉は単純化されたことにより心に響く。しかし、そこには類型化という落とし穴がある。
また、文章の余計なものをすべてそぎ落とすのでは、常に良いかというとそうではなく、時に余計なものを入れ込むことにより成功する。
最後に鶴見俊輔の『文章心得帖』の言葉を借ります。 「文章を書くということは、いろんなことをたくさん言いたいことがあるなかから、<選ぶ>ことです。<選ぶ>というのは、何かの形を与えることで、それが文章を書くということなんです。ですから、選んだものをまとまった形にする作業だが、その時に形をあまりに考えすぎて、まとまりをつけすぎるとわれわれを生かしている生命の力、それがなくなってしまう。死んだ文章になってしまう。それが文章を書くことの中心にあるドラマです。」(抜粋)
引用部:鶴見俊輔 (著) 『文章心得帖』筑摩書房(ちくま学芸文庫) 2013
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