[再掲載]「星の王子周辺」8
内藤 濯 『星の王子とわたし』より

Reading Journal 1st

「星の王子とわたし」 内藤 濯 著
[Reading Journal 1st:再掲載]
(初出:2007-02-27)

星の王子周辺 星めぐり(三)

本当の友達を探している星の王子は最後に地球にたどり着く。ところが砂漠でであった蛇や花は人間に好感を持っていなかった。そして、人間らしい人間に出会いたいと思っていた星の王子は、高い山に登り地球全体と住んでいる人間を見渡そうとする。しかし王子の目に写るのは荒涼とした風景だった。それでも、王子は何かを話したくなり「こんにちは」と話しかける。答えてくれたのは木霊だけだった。王子は失望し山を降りる。

といったわけで、王子が人間の土地からまず何を知ったかといえば、自分自身と面と向かうよりほかには、心の空虚をみたす道がないということだった。他人を当てにしてはならないということだった。(抜粋)

次に王子はきつねに出会う。きつねは日々の生活の退屈を訴えるが、また、王子に”飼いならす”というヒントの言葉を残す。

狐は自分の日常生活の下らなさを訴えているが、サン・テグジュぺリによれば、これこそあきらかに、一般人間生活の象徴化である。平板さの連続でなければ、おなじ一つのことの繰り返しにすぎない。とはいっても、愛が生活に居場所を見いだすことになれば、何ごとも新になる。なぜなら、行動がはっきりした目的をもつことになるからだ。(抜粋)
飼いならすとは相互依存のきずなをつくり出すことである。
「あんたがおれを飼いならすと、おれたちは、おたがいに離れちゃいられなくなるのよ。あんたはおれにとって、かけ替えのないものになるんだよ・・・・・」(抜粋)

この言葉で王子は、遠くに残してきたバラが、この世に二つとない花であることに気づく。

狐は王子にぶちまけていう。赤裸々な砂漠での経験が、おごそかに物をいわせるのである。
「心で見なくっちゃ、物ごとはよく見えないよ。かんじんなことは、目に見えないのさ」(抜粋)

きつねと別れた後王子は飛行士のところに行く。飛行士の蓄えの水が無くなっている。王子は飛行士に井戸を探しに行こうという。
砂漠に井戸など無いと思いながらも、飛行士は一緒に歩き出す。

しかし、王子のもとめている水が、いうところの水ではなくて、友情の水であることには気づかないのである。(抜粋)

そして、見つけた井戸は砂漠にありそうな井戸ではなく村にあるような井戸だった。その井戸の水を王子はうまそうに飲んだ。

友情の視野におのずから浮かんだ井戸だったのである。疑いもなく、精神的な水だったのである。「目ではなにも見えないよ。心で探さないとね」と、サン・テジュペリは王子に言わせている。(抜粋)

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