2025-10

Reading Journal 2nd

[レビュー] 『陰翳礼讃・文章読本』
谷崎 潤一郎 著

谷崎潤一郎は『陰翳礼賛』で日本の美は、暗さとその陰翳にあるとした。それは、庇を張り出し鈍い光しか入らない座敷の美に始まり、漆器、そしてそれに盛られた料理の美、さらには金屏風や能衣装などの暗闇に光る美、すべてが暗闇と陰翳が関係している。:『陰翳礼讃・文章読本』より
Reading Journal 2nd

遅れる軍の対応 — 身体から見た戦争(その2)
吉田 裕 『日本軍兵士』より

戦争が激しくなるにつれて日本軍兵士の体格・体力が低下した。しかし、それに対する軍の対応は遅れ、現地自活の方針となる。それは、中国人民からの略奪を一層強化を意味した。その他、結核や知能障害者の排除、虫歯の問題などが書かれている:『日本軍兵士』より
Reading Journal 2nd

友人の説得(後半)
浅野 順一 『ヨブ記 その今日への意義』より

ここでは、必ずしも正しいものが勝つのではなく、しばしば不誠実なものが繁栄するという、人生の矛盾・不条理の問題を、「エレミヤ書」、詩編の「知恵の詩」から考える。またこの問題に対するアウグスティヌスの「刺繍のたとえ」にも触れている。:『ヨブ記 その今日への意義』より
Reading Journal 2nd

キリスト教、儒教などの諸思想との交流 — 見えざる世界(その2)
末木 文美士 『日本仏教再入門』より

日本にキリスト教が入ってくると、一神教の教えは理解が困難だったため、仏教側と互いに批判し合う。しかし、有効な議論とならなかった。近世になると合理的な儒教と仏教は論争になる。しかし、儒教も鬼神論があり、霊魂の存在を認めざるを得なかった。:『日本仏教再入門』より
Reading Journal 2nd

兵士の体格・体力の低下 — 身体から見た戦争(その1)
吉田 裕 『日本軍兵士』より

日中戦争やアジア・太平洋戦争では、年々多数の兵力を必要とした。その兵士を集めるために、軍は徴兵検査の基準を大幅に引き下げざるを得なくなる。そして、アジア・太平洋戦争が泥沼化するに従い、体格や体力が劣る兵士、病弱な兵士が軍隊の中で増大した。:『日本軍兵士』より
Reading Journal 2nd

友人の説得(前半)
浅野 順一 『ヨブ記 その今日への意義』より

ヨブの嘆きを聞き友人のエリパズがヨブを励まそうと説得する。エリパズは伝統的な賞罰応報的な立場から、信仰に厚かったヨブがここにおいてどうして惑うのかという。この言葉に人生の矛盾・不条理と戦っているヨブは容易に同意できない。:『ヨブ記 その今日への意義』より
Reading Journal 1st

[再掲載]『漱石』 母に愛されなかった子
三浦 雅士 著

(初出:2008-10-16)の再掲載:『漱石』 母に愛されなかった子 三浦 雅士 より
Reading Journal 2nd

[レビュー] 『刺青 痴人の愛 麒麟 春琴抄』
谷崎 潤一郎 著

『刺青 痴人の愛 麒麟 春琴抄』は、谷崎潤一郎の戦前の代表作を集めた「現代日本文学館」シリーズの一冊である。ここでは谷崎の初期の耽美な世界が描かれている。また、井上靖による谷崎潤一郎の評伝と作品解説がある。:『刺青 痴人の愛 麒麟 春琴抄』より
Reading Journal 2nd

顕と冥の世界 — 見えざる世界(その1)
末木 文美士 『日本仏教再入門』より

目に見える世界の裏にあるものとの関係を論じるときに使われる述語に「顕」と「冥」がある。慈円は『愚管抄』においてこの、冥顕を使い日本の歴史を貫く「道理」を追求した。このような思想はその後、変化をしながら発展していく。:『日本仏教再入門』より
Reading Journal 2nd

自殺と戦場での「処置」 — 死にゆく兵士たち(その3)
吉田 裕 『日本軍兵士』より

日本軍兵士の死のあり方として、戦死、戦病死以外にも多様な死があった。その中に私的制裁や捕虜となることが禁じられたための自殺、動けなくなった疾病兵を殺害する措置、食料を得るための強奪・襲撃、さらには人肉食のための殺害などもあった。:『日本軍兵士』より